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第一の指標は営業の活動量です(1)

2014年8月28日 [連載特集:営業のPDCA]

営業の活動量といえば、多くのビジネスでは、訪問件数や商談件数となってきます。案件型の営業では手持ちの案件数かもしれません。営業活動では、さまざまな活動指標が考えられますが、その活動量を目標にして、結果を振り返る、あるいは活動量の変化を知ることから、営業のPDCAを回してみることをオススメします。
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訪問件数では、かつて実際にあったあるエピソードを思い出します。

ある会社の天皇ともいわれるほど絶対権力を握っていた創業家のトップの不祥事が明るみにでて、経営から追放されることになったのですが、それをきっかけに、それまでは誰も口にできなかった社内の不満が明るみにでたのです。そのトップは営業に『毎月60回』の顧客訪問を行い、さらに逐一上司への報告を行うことを求めつづけていたそうです。

しかも当初は訪問計画を作成するように言われていたのが、やがて、計画をつくるのに時間をかけすぎるなと命じられ、やがて訪問計画の中味を吟味することもなく、ただただ『毎月60回』がひとり歩きしていったといいます。

しかし、その会社は、限られた既存顧客へのルートセールスであったために、ノルマ通りに訪問件数をこなそうとすると、同じ顧客に月に4回、5回とリピートして訪問することになり、「また来たのか」と嫌がられるようになってしまいました。目新しい商談話もないままに得意先がしらけるばかりで、会話も弾まなくなってしまったそうです。

さらに、『9時半から16時半までは事務所に帰ってくるな』、『打ち合わせは17時以降にしろ』と役員から命じられ、サービス残業が常態化していたといいます。

このエピソードを営業のPDCAという視点で見れば、『毎月60回』の訪問件数を目標とした事自体に問題があったわけではありません。『毎月60回』の訪問件数は、一般的には、決して無理な目標とはいえません。

問題は『毎月60回』がお題目となってしまい、会社そのもの、また営業部門が思考停止に陥ってしまったことです。活動の結果を振り返らないで、ただただ『毎月60回』を守らせようとしたために、営業現場で起こっていた問題から目を逸らしてしまったのです。

それは、とりもなおさず、より成果の出る営業活動にむけた改善や、改革のチャンスを自ら放棄してしまう結果となってしまいましした。

しかし重要な事は、実際に『毎月60回』の訪問件数を実行しなければ、それがほんとうに目標として適切であったのかもわからず、あるいは顧客不足などの問題なども明らかにはならなかったことです。

普通に考えれば、既存顧客が不足していたのなら、既存顧客への訪問件数を抑え、新規顧客の開拓に注力するとか、あるいは営業の業務や営業の活動の範囲を広げるとか、さまざまなアイデアがあったはずです。もしかすると、そもそも営業人員が過剰だったのかもしれません。

PDCAをまわす前提として、結果としての売上だけでなく、営業活動そのものの目標数値をもつことが重要です。しかし活動そのものに焦点を置くにしても、さまざまな目標数値があります。

しかし、そのもっとも基本となるのが活動量です。実際に顧客とあわなければ、生きた商談も、顧客から生きた情報を得ることもできません。

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活動量というもっとも基本になる指標は、訪問件数や商談件数、あるいは営業のステップを踏んでいく案件型の営業の場合は、手持ち案件数が活動量とみなすこともあります。

活動量をモニタリングすることで、個々の営業メンバー、またチームのコンディションもわかってきます。活動量になにかの変化があれば、なにかの問題が起こっている可能性が高いのです。その原因を探れば、問題が根深くならないうちに、対策を打つことも可能になってきます。

営業のPDCAをまわすコツは「活動の数値目標」をもつことです

2014年8月19日 [連載特集:営業のPDCA]

営業のPDCAをうまく回していくためには、ひとつは営業活動そのものにスポットを当てて、どれぐらい活動すれば結果として売上目標が達成できるのか、あるいはできそうなのかの行動の目標となる「数字」をもつことです。数字で営業活動そのものをとらえ、どこに課題があるのかを発見しようというアプローチです。営業は数字だと言われますが、その数字を売上目標そのものから、活動目標に置き換えてみるということです。

もうひとつは、営業活動は、商談ひとつひとつにドラマがあります。数字だけで読み解けないドラマがあるというだけでなく、結果としての数字を読むにしても、現場でなにが起こっているのかがわからなければ本当の課題は見えてこないものです。簡潔に商談メモを残しておくことだけでも得られることは大きいのです。

数字で目標をもち、その目標通りに活動ができたのかと、商談ひとつひとつの中味を読み解き、振り返ってみて、なにを改善すればいいのか、なにに注力すればいいのかを発見し、次の活動に生かしていくことがPDCAサイクルをまわすということになってきます。

さて、営業のPDCAについてはどうすればうまく回せるのかという悩みをよく聞きます。それは営業活動が複雑だからで、なにを目標の数字にすればいいのかの絞りこみができていない場合に生じてくる問題です。

では、なにが営業活動の目標の数字になってくるのでしょうか。業種や営業スタイルによって異なってきますが、基本に立ち返って、実際の営業活動でなにが重要であり、成果につながるのか考えてみてはいかがでしょうか。基本となる視点は、つぎの3つの切り口が考えられます。

数値目標

ひとつは活動量そのものです。具体的には顧客とのコンタクト回数です。案件型ならどれぐらいの手持ち案件を持っているのかに置き換えることもできます。

ふたつめは活動配分です。どの顧客に、あるいはどのキーマンにどれだけの営業活動を割くかです。案件型の営業なら、どの商談ステージの案件をどれだけ手持ちとしてつねにキープするかが重要になってきます。

みっつめは、商談の成功率です。なにを成功とみなすかは業種や営業スタイルなどによって異なり、産業財なら指名をとることであったり、消費財なら定番として導入できたか、あるいはプロモーションの実施店舗をどれだけ獲得したかなどになってきます。案件型であれば、商談ステージがどれだけステップアップし、またどれだけの案件をクロージングできたかなどです。

実際には、いくつかの数字を目標として持つということになりますが、それを実行していれば売上目標達成、あるいは営業目標達成に確実につながるだろうという目標数字はKPI(Key Performance Index)といわれるものです。

営業のPDCAとは

2014年7月24日 [連載特集:営業のPDCA]

PDCAは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)のサイクルをまわすことだということをご存知の方は多いと思います。Check(評価)を入念に行う重要性を強調してStudy(研究)としてPDSAとも言われています。

PDCAサイクル

PDCAという手法が日本で浸透したのは、決して最近のことではありません。かつて日本では、QC活動やそれを全社的に広げたTQC活動などの品質管理が盛んでした。企業がこぞって品質管理への取り組みを競い合っていた時期もありました。

その品質管理活動の主導的なリーダーであったのがデミング博士で、デミング博士は、「統計的品質管理の父」ともいわれるシューハート教授とともにPDCAを提唱した人に他なりません。優秀な活動を行なった企業には、毎年デミング賞が授与されたものです。こういったTQCへの取り組みのブームはバブル期が頂点でした。 (さらに…)

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