営業部門の情報共有が進まない5つの理由

2016年11月30日[営業の情報共有, 営業力強化のヒント]

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営業部門の強化が急がれます。とくにB2Bの企業の営業部門は、より質の高い提案を行い、またお客さまとのコラボレーションの機会をつくることを通して、売れる状況をつくりだし、また顧客ニーズを発掘するという重要な役割を担っています。それが競争力を高めるための原動力となることはいうまでもありません。

また競争が激しくなり、製品やサービスに求められるものが高度化するにつれ、営業活動が以前に増して複雑となってきており、周到なステップを踏んで商談を進めていかなければ案件を成約することもできないというのが普通になってきています。

さらに開発部門や、製造部門、サービス部門との連携を図るコーディネーターとしての役割も重要となってきています。
そうなればなるほど、営業個人の力量もさることながら、営業現場でなにが起こっているのか、お客さまの反応がどう変化しているのかをいち早く知り、組織的に対応することが重要になってきています。
だから、高度成長期のように、どんなふうに営業活動をするのかは個人に任せ、結果だけを見ればいいということから、営業のプロセスを管理し、組織的に対応、また改善していこうという動きが生まれてきました。
そのためには、営業現場で起こっていることを互いに共有することが必要になってきますが、営業情報の共有化については、企業間格差が大きいということをひしひしと感じます。その差を生んでいる原因のひとつが、情報共有ツールの活用の有無です。
営業情報の共有は、さまざまなITツールが世の中にはあるのですが、それを活用していない会社もまだ数多く残っています。
営業部門へのコンサルティング、またSFAソフトを開発・運用してきた経験から、情報共有やITツールの利用を阻んでいる主な5つの理由を挙げてみました。参考になればと思います。

1.お客さまによって状況が違うので情報共有する意味がないという誤解
確かに、とくにB2Bのビジネスは、お客さまによってなにが求められているかは違い、個別に対処しなければならないこともありますが、しかし営業活動の進捗の基本は共通しているはずです。また個々に起こっている特殊な問題と思っていることも、情報を共有すると、そこに共通した課題やヒントがあることがわかってきます。

2.営業は結果だ、個人の力量だというパラダイムから抜け出せない
結果さえ出せばいいということで育ってくると、やがて営業はそうやって育つものだという確信となってきます。だから、自らがどのように営業をしているかを公開すること、また営業に情報を公開させることへの根強い心理的な抵抗が残っている場合は、情報共有そのものにも、営業のプロセスがわかる情報共有ツールの導入も進みません。なぜ情報共有が必要なのかの理解を促すリーダーシップが重要になってきます。

.ツールを入れてもみんなが使いたがらないという誤解
この誤解が案外多いのです。しかし、実際にそういった会社で何社かアンケートを実施したことがありますが、若い営業のひとほどツールの利用を希望する人が多く、むしろ、マネージャーの人たちがそう思い込んでいるだけでした。

.マネージャーの役割への認識不足
営業マネージャーは、これまで築いてきた経験、知識、知恵、また人的なネットワークなども駆使して、高度な営業活動を展開する現役選手であるとともに、若手へのよりよき仕事のアドバイザーであるだけでなく、顧客の変化や、克服すべき課題を発見する情報エージェントとして、自らのチームや他の部門を動かすコーディネーターとしての役割の重要性が増してきています。
ともすれば営業プロフェッショナルとして、また人生の先輩としてのアドバイザーは得意だけれど、やはり根底には、営業は個人の自由裁量の世界だという思い込みがあると、情報エージェント、コーディネーターとしての役割を軽視しがちになってしまいます。

.情報を共有する場、チームで解決を考える機会の不足
営業のスーパーマン、またスーパーウーマンなら、一人で考え、一人で知恵を出し、お客さまとの人間関係もつくりながらいい結果を出します。しかし、みんなが最初からスーパーマン、スパーウーマンではなく、悩みもあり、気がつかないことも多いというのが現実です。
実際に営業支援ツールを活用すれば、具体的な問題を抽出して、チームで話し合い、解決を探ることもできるようになってきます。そのためには、ITツールの導入だけでなく、進捗を確認し合い、チームで解決を考える機会づくりが欠かせません。

景気の減速感が高まるとともに、営業を取り巻く環境も刻々と変化してきます。そういった変化に対応していくためにも、今こそ営業情報の共有化について見直していくことが必要ではないでしょうか。

大西 宏のマーケティング・エッセンス 」より

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